つらつら日誌  夏の亡霊

中学1年の暑い夏だった。汗をぐっしょりかきながら私は昼寝をしてしまっていた うっかり寝てしまい夕方になって目が覚めた時というのは何だか騙されたような悲しくて悔しい気分になる。2階の自分の部屋から階段をぶすっとしたカオで降りていくと買い物から帰った母がワンピースを持って待ちかねた様子で台所からやってきた。「かわいいでしょ、着てみ」私の体にあて始める。私の機嫌の悪さはとたんに絶頂に達し階段にダラリと座り込んでうなだれた
じっとり汗ばんだ自分の体が心地悪い、母のうれしそうな仕草は私を一層ムカムカさせた「かわいいでしょ、早く」母は私の不機嫌さなど気にもとめずワンピースを着せようとし始める。「こんなんいらん」私はワンピースをふりはらった。
後日そのワンピースを居間の隅でみかけた確かにかわいい黄色の小花柄で涼しそうなワンピースだった。私はあの時自分の不機嫌さに自分でどうしようも引っ込みがつかなくなっていて心はとてもみじめだった。母に悪い事したという思いと自分のみじめさが悲しくてそのワンピースをみるのがつらかった。胸が痛かった。
結局 どうしたのだろうそのワンピースは一度も袖を通す事なくみかける事もなかった何となくこのシーンを強烈に覚えていて時折胸がぎゅっとなる。2005年今年の夏もまたじっとりと暑いだろうか。
                   meg記
女の子ワンピース